飽きたから

飽きたからです

悲しい話

寒い。
大好きだったあの子は今や東京でキャバ嬢なんてやってるらしい。裏切られた訳でもないのに、裏切られた気分だ。泣きそうだ。

冬は毎年泣きそうだ。
寒さや、匂いや、風景に、色んなものを思い出してしまう。
多分別に、いつかに戻りたいとかそんなわけではない。今だっていつだって美しい思い出で、僕は何やら「より美しく見えるフィルター」越しに過去を見ている。折角冬の空気は透明なのにな。

悲しみや寂しさが、憎しみのフリをする。
手を替え品を替え、付き纏う。
そんなやつ信じない方がいいよ、そんなやつの話は聞かなくていいよって、言ってやれたら良かったんだけれど。
いや、余計なお世話か。あの子はあの子で楽しくやっているなら、それでいいか。……なんて、思えるわけはないけれど。

結局のところ何を言っても本人に届くことは無いし、何処かで僕のことを強く憎んでいるかもしれない。
そうなるとそんな感傷は非常に勿体無い。日々は楽しくあるべきだ、でないと楽しくない。
ライフ・イズ・パーティなんて、大好きなバンドがよく歌っていた。
考えると、僕の口をあの人への悪口が塞ぐことはいつの間にか無くなっていた。裏切られたのかと言われたら、裏切られたと答えるし、もう許したのかと言われたら、多分、そんなことは無いのだけれど。

ううん、どうだっけ。

僕は多分、美化している。
かの美しい日々が、本当にそこまで輝いていたか?
どうだっただろう、思い出せないな。
思い出せないようなものに未だに縛られているんだな。

悲しい話だ。