ニッ記

基本的に嘘です

朝の話


これほどに惰眠を貪ったのはいつぶりだろうか
朝早く起きては会社へ行き、帰ってシャワーでも浴びると日が変わる
目まぐるしく、振り回されるような日々の中で

私はめちゃくちゃ寝坊した

いつもとは違いすっきりとした目覚めと、
じと、と汗ばんだ肌と、
鳴っていない携帯電話に、
とてつもない違和感を覚えた

跳ねるように携帯電話に手を伸ばし、ボタンを押す
画面は真っ暗なままだ
脳を舐められるような嫌な感覚と共に
電話本体にはしっかりと刺さった充電器のコードを目で追ってみると
案の定、電源プラグは抜けていた

様々な想像が頭に浮かび消えていく
鬼のように怒る上司の姿
普段から怒られている上にこれだ
何と言い訳をすれば良いだろう
携帯の電源を入れたらどれだけの着信が来ているんだろう
罵倒のメールもあるだろうか
このまま放っておくとどうなるんだろうか
クビになるんだろうか

そう考えた瞬間、
私は心の何処かで喜んでいた

こうなれば、辞めるしかない
やっと辞められる
やっと逃げられるのだ

理由さえ作ってしまえば、あとは逃げるだけだ
ただ辛いばかりの日々に身を置くことから
絶望をわざわざ拾い集めるような日常から
この親不孝者は、ついに逃げることが出来るのだ

そうと決まれば、もう少し眠ろう
明日からのことは、明日から考えよう

大丈夫だよ、きっと全部大丈夫だ