ニッ記

基本的に嘘です

ミケンの話


ミステリー研究部は部員が定員を下回ったため、
ミステリー愛好会へと姿を変えた

「略して"スカイ"だな、爽やかに行こう」
なんて彼女なら笑っただろうか

僕はといえば、
太陽が真上を過ぎたくらいにやっと布団から抜け出すことができた
居間に用意されていたおにぎりと素麺を食べただけなのに、
何だか疲れてしまって
今日はもう家から出ないことにする
今日も、か

彼女が亡くなって一週間が経った
高校生である僕は本来この時間には学校にいなければならないのだけれど、
その日から一度も何処かへ出かけることはしなかった
悲しみや寂しさからそうしているのかと言えば、それは違う
そもそも僕は彼女に会う以外のためにこの部屋を出ることはしなかったし、
今は彼女の愛した本を読むことよりも先にするべきことなんて
何一つ見つからなかった

自称シャーロキアンであった彼女の蔵書たちが、僕の部屋を埋め尽くしている
全てを読み終えるまでにあとどれくらいの日数がかかるだろう
出来る限り、本を読むこと以外を考えないでおこう
そして眠くなれば眠ろう
「不眠は働くよりも遊ぶよりも人の神経を悩ますものだ」
と彼女はよく言っていた
それがホームズのセリフだと知ったのは
彼女がもう居なくなってからだったけれど
今更だとしても、彼女を構成しているものに触れられることは嬉しかった

それが終われば、本を返しに行こう
線香のひとつでもあげて、部活の話でもしよう
いや、今はもう愛好会となってしまったけれど

「略して"テアカ"だな、皮肉が効いている」
なんて彼女なら笑っただろうか
僕はスカイの方が好きだな